桃山御陵
この敷地は，豊臣秀吉の木幡山伏見城の本丸の跡とされる。現在の墳墓の近くには石垣が残っているといわれるが，中に入ることはできない。
また，ここに来る途中の参道に伏見城の石垣に使われていたと思われる石材が置かれている。そして，桓武天皇陵に行く途中で見える「治部池」は，城内堀の名残である。このような池は御陵内に数カ所残っている。
明治天皇は明治４５年（１９１２）７月崩御，同年の大正元年９月１３日東京青山神宮外苑で大喪の礼が行われ，翌１４日にこの地伏見桃山御陵に埋葬された。
陵は上円下方墳で，すぐ東側に明治天皇皇后昭憲皇太后の伏見桃山東陵がある。
指月伏見城
秀吉は，文禄元年（１５９２）８月指月の丘に隠居屋敷城を造った。当時秀吉は九州名護屋城に居たが，秀頼が生まれたので，指月屋敷城に帰った。
そして，朝鮮出兵の和議を結ぶために大規模な城を考慮する。文禄３年（１５９４）には，新城を木幡山に作り出す。当時，朝鮮出兵をしていない大名に動員を発令，城周辺の土木工事も行い，巨椋池の改修と宇治川付け替えや伏見の町造りも行うが，慶長元年（１５９６）伏見地区に大地震が発生し，指月伏見城は破壊された。
木幡山伏見城
そこで，指月の丘に見切りを付けて，木幡山の城を本格的に再建することとなる。用材は指月城の再使用，工事の効率化もあり，翌年５月に早くも天守閣が完成した。
やがて山里丸学問所，舟入御殿等も完成，１０月には本丸，二の丸，名護屋丸等も次々と完成。伏見の町も整備され，京町通は五条までつながり，両替町も経済の中心として発展した。
これらの遺構の一部は，高台寺の「時雨亭」や「傘亭」にわびの精神を見ることが出来，二条城，東西本願寺にはその豪華さを偲ばせる。また，伏見の町名には五奉行や大大名達の屋敷の名残を示す。
しかし，秀吉は慶長３年（１５９８）８月に死亡，五奉行の一人前田利家も翌年死亡する。家康はこの年３月に子の結城秀康にこの城を預け，自身は大阪城に移ることで伏見に居た大名たちを大阪に集め，天下の趨勢は徳川氏へと傾いていくこととなる。
伏見桃山城運動公園
昭和39年（１９６４）近鉄が「伏見桃山城キャッスルランド」として大小天守閣を備える鉄筋コンクリートの城を造った。旧木幡山伏見城と並ぶべきもないが，往時を偲ぶ便となろう。
平成15年閉鎖，跡地は伏見桃山城運動公園として開設，城は伏見区のシンボルとなっている。
北堀公園 木幡山伏見城堀跡
慶長2年（１５９７）5月木幡山伏見城の天守閣が出来たとき，内外堀に水を引くことが問題となったが，前田玄以の家臣「岡紅雪」が苦心の末完成させた。
しかし徳川伏見城になってからは「から堀」となった。以後廃城から明治初めまでは「から堀」状態であったが，明治40年（１９０７）伏見に陸軍16師団が駐屯することとなり，陸軍兵舎に水を供給する必要が発生，郡の水源地となった。戦後は京都市水道局の水源地となり，平安遷都1200年（１９９４）事業として「スポーツ公園」となった。
神明神社
通称「桜町大神宮」と呼ばれ，治承2年（１１７８）藤原成範（しげのり）が桜花の短い寿命を嘆き，神に散花を遅らせることを願うと，神は３７日間その散花を遅らせたことにより，成範はそれを感謝してここに社を建立，後に秀吉も木幡山伏見城築城時に敷地内に在った「佐田彦神社」を合祀，花期の長い桜を愛し度々参詣した。
清涼院
浄土宗の尼寺で，この付近に木幡山伏見城のお花畑山荘と呼ばれた御殿があった。そこに徳川家康の愛人「お亀」を住まわせた。「お亀」は，石清水八幡宮の社人の「清水宗清」氏の出で，慶長5年家康の第9子を産んだ。この子が後に尾張徳川家の祖となる義直で，幼名「五郎太丸」の所縁で町名は五郎太町である。
海宝寺
黄檗宗の寺で，享保年間（１７１６〜１７３６）の開創，伊達政宗がここに屋敷を構え，木幡山伏見城の壕の樋門の守備をしていた。正宗遺愛の木斛の木が残る。
栄春寺
曹洞宗の寺で，創建は永禄１１年（１５６８），境内北の墓地に木幡山伏見城の惣構えの土塁がある。これは城下の外周の一部で，西に延びていることが判り，防御と政治機構のため，土塁と壕，更に石垣で囲まれた堅固な物であり，偉大な城であったことが伺われる。
平成25年3月10日（日）JR桃山駅に集合して，伏見城跡を歩きました。
