2001.8.2〜5 ソロ
8月2日16:00駒ケ根高原に到着,公衆温泉「こまくさの湯」に入湯し一息つく。露天風呂からは,中御所谷の彼方に宝剣山の頂が覗く。明日はあの頂を木曽駒から見るかと思えば感慨一入だ。夕食は,駒ケ池の辺に食台を出して取る,空の下での食事はうまい,ビールもいい。遠雷が聞こえ,池の噴水飛沫が刻々と方向を変化させる。やがて黄昏を経て星が見えてくる。明日晴れたらいいな。
3日晴れ コース 黒川平→伊勢滝→夫婦滝→馬の背→木曽駒ヶ岳→山頂山荘キャンプ場
5:00起床,菅の台バス乗り場へと移動,6時前に臨時バスが出るというので,既に多くの乗客が並んでいた。黒川平で降りることは無理のようで,5:45ここから歩くことにする。途中菅の台出発の臨時バスに抜かれながら6:05黒川平着,黒川渓谷を左岸沿いに歩く。林道のため山歩きの気分は少ないがアップダウンが無く,日陰のために快適だ。しかし,誰にも会わない,多くの登山者はバス,ロープウェイを乗り継いで千畳敷カールから木曽駒を目指すんだろうか。7:23不動滝で小休止,この頃から工事用車両が入っていく。その車両を見送りながら呟く。「乗せてくれい。」
9:25五合目の伊勢滝到着,ロープウェイができる前はここまでバスが入っていたという。ここからは登山道となり黒川左岸の雑木の中を行く。七合目付近で,渓谷沿いに中岳がピラミッドのような端正な山容が目に入る。馬の背に出る急登にはクルマユリ,シナノキンバイ,ハクサンフウロなど多くの花が現れる。チングルマはもう秋の装いだ。
12:20馬の背の八合目に出る。尾根道はピーカン照で体力の消耗が激しいが,見晴らしは最高だ。天竜川を挟んで東側に南アルプスが雲の中に時折顔を出す。甲斐駒ヶ岳が誇り高く姿を表し,左側に異様な山容の鋸岳がスカイラインを描く。仙丈以南は白雲の中だ。北を見れば茶臼山への稜線が雄大にうねり,中央アルプスの大きさに感動する。13:40木曽駒ケ岳頂上へ立つ。南側中央に中岳,後ろに岩塊の宝剣岳,左に和合山,伊那前岳,右に三ノ沢
岳がすぐそこにある。いずれも侵食が激しく山頂から谷川へ多くの崩落痕が爪跡のように見える。14:30頂上山荘へ到着,野営場はロープウェイから来たのであろうか,ジーンズ姿や子供がキャンプ場にいる。そう言えば黒川渓谷登山道では誰にも遭わなかったなあ,この時期百名山で静かな山歩きができるコースはそうないだろう。
19:30頃山荘の電源が消されると,星を見ようとする山荘客がたくまろのテントのすぐ側でおしゃべりをはじめる。「ムッチャきれい〜。」「マジー感激やわぁ〜。」関西人は節度が無く,良く喋るなあ。
8月4日晴れ コース 山頂山荘→宝剣岳→桧尾岳→空木岳→池山尾根→駒ケ根高原駐車場
4:30鞍部の野営場は風が強く,また早朝山行パーティのストレッチ体操の掛け声で目を覚ます。中高年も傍若無人が多いなあ。強風のためテントはコンパクトに収納できず,湿ったままゴミ袋に包みザック内に収納する。5:20出発,中岳を経て宝剣岳に立つ。南アルプスがパノラマに浮かび,白峰三山の後方には富士山も顔を出している。西北側には御嶽山が孤立し,南には中央アルプス稜線が上下左右にうねり,その先に空木,南駒がそびえる。朝の山は清冽で浮世の煩悩を洗い流すかのようで,再び山の魅力
に落ちいってしまう。
6:40極楽平からの三ノ沢岳も良く,風格のある山だ。七曲は島田娘ともいい,伊那側から見ると雪解けの容が娘のように見えるというが,今年の暑さでは残雪がどこにも無く,稜線では水の補給ができない,山頂小屋から持参した水はポリ容器の臭気が着き大変不味い!。
8:17桧尾岳は木曽側からの風が強く,汗が瞬時に退いて行く。桧尾根には蒲鉾のような避難小屋がポッカリと浮かび,天竜川を挟んで南アルプスの遠映,北には先ほど立っていた宝剣の山塊が空を突いている。アップダウンを繰り返し東川岳に来ると,木曽殿越鞍部が切れ落ちて見える。11:00鞍部の木曽殿山荘に到着,憩いのひと時,ラーメンを食す。木曽義仲も越えたという鞍部から空木岳への急登が目に入り,少し憂鬱になるが,義仲の力水を飲み心身ともリフレッシュして11:50いざ出発。急登に義仲の力水も10分もたず,心肺機能はフル回転となる。13:05空木の山上に着くが,如何せんガスが出てきて,何も見えない。夏山は湿気が多いせいか午後からよくガスが出る。仕方なく駒峰ヒュッテに降りて駒ケ根高原までの到着時分を聞くと,5〜6時間とのことなので下山を決定する。しかし,雑木林の中,下山は風も無く汗が噴き出る。にわか雨もあり,飛ばしての下山でますます暑く,汗だくの体で17:15駐車場のマイカーへとたどり着いた。12時間も歩いたせいか,足腰はもうバラバラ状態,どうしてもソロは無理をしてしまうなあ。反省!
再度「こまくさの湯」で疲れを取り,初日と同じく駒ケ池の傍らで夕食,今回の山行を振り返り,ビールで一人乾杯する。あ〜シ・ア・ワ・セ!