行程 7:56京都駅8:40比良駅8:57リフト前駅9:30神爾谷ー2:30(昼食)13:50-15:05ロープウェイ山頂駅16:05リフト前16:3816:45比良駅17:35京都駅



 比良駅ではあんなに登山者が溢れていたのに,神爾谷へ入るのは私達8人だけである。リフトの下を潜り神爾谷を目指す。雪は去年の今頃より遥かに多い。行く手にはトレースが1本走っている。メンバーが揃っていても何かあれば何時でも引き返す心構えが必要である。ペースが整った頃からトップを皆で交代し,ローテーションをしながら登って行く。
 今日は雪の状態や天候,周りの総てのものが私達に味方してくれているようだ。神爾谷へ入って4ツ目の堰堤の上で単独行の方に追い付いた。後は一緒に行動となった。彼は既にアイゼンを着けている。テープと所々に微かに残るトレースの跡を見落とさないように辿る。多勢なのでラッセルも快適である。



 昼食地点でたーぷを張り,皆が腰を据えたので「これは付き合っていられない。」と思ったのか,単独行は「お先に・・・。」と言って登って行った。こちらは親しみをもって,熱い雑炊の一杯も御馳走しようと思っていたのに・・・。食事中も皆の笑顔が絶えない。パーティーを組むという事は,一人一人は非力でも,素直に歓びを表現する事が,皆に影響を与え,そこに信頼と余裕が生まれ,それが一つとなって大きな力になる。それぞれがそういう役割を担っている事を忘れないで欲しい・・・。今日は必ず上まで登ろうと決心する。


 何時もの事だが,食事の後の行動は体が重く,調子が戻る迄は辛いものがある。谷がだんだん狭くなり,最後の二俣をコースは左にとる。勾配も急になり雪の量も多く,私達のラッセルも思うように捗らなくなる。やっと鎖場(雪に埋もれている)の下迄辿り着くと,単独行がルートが判らず立ち往生している。私達の顔を見て安心した様子。見上げると鎖場の一番「おいしい」斜面が,真っ白に手付かずに残っているではないか。感情の昂ぶりは頂点に達し,皆,好きなコースを子供が物を壊して行く様に,思い思いにラッセルを始めた。上に行く程雪が締まって来て後はキックステップで登る。最後の厳しい所は「池田」さんにトップを任せる。アイゼンに頼らず,ザイルを使う事もなく,全員北比良峠に立つ。皆良く頑張った。一人一人に「ありがとう」と言いたい。


 
ハイカー達はダケ道へは降りて行くが,神爾谷へ降りる人は誰もいない。今日一日,神爾谷は私達だけのもので,今,振り返ると至福の楽園だった。もう,これ以上の行動は必要なく,時間は早いがロープウェイの駅で山行を打ち切り,後は乗り物の人となる。リフトに揺られながら心地良く満足感に浸る。皆と別れた後,何故か熱いものが込み上げてきた・・・。

 


    野宿と山歩き

たくまろの世界      野宿と山歩き

ネ賽ノ。。ソタシ、テォ