10月25日
京都東IC~中央駒ケ根IC~戸台仙水荘
仕事の手配,歯の治療などで京都東ICへ12時に入る。仕事は終り天気は上々,一人旅もいいもんだ。
15:30中央道駒ケ根IC到着,駒ケ根高原こまくさの湯で一汗流す。紅葉は,高原まで下りており,露天風呂からの中央アルプスの勇姿に心身とも洗い流されるようだ。
近くのスーパー(ダイエー系)で,夕食を調達して天竜川を渡り長谷村は戸台のバス乗り場,仙水荘へと向かう。256号線のワイディングロードは,紅葉の最中だろうが黄昏では解らない。
18:00仙水荘駐車場へ到着,仙水荘は村営旅館で登山者やハイカーの基地となっている。無料休憩所や風呂も入れるとのことだった。
また,駐車場に隣接してバス利用者用の休憩小屋があり,畳敷きで布団,枕,シュラフも用意されている。
部屋は二つに区画されており小室は更衣室となっているが,同じく布団類が用意されている。女性のパーティにはありがたいだろうな。
今日は,貸し切りで宴会だ。友はビールと惣菜類,遠くに鹿の鳴き声が聞こえる。
表に出ると空には満天の星,一句ひねる。「秋冷えの 星降る夜の 小便かな」字余り。
26日
仙水荘~北沢峠→駒津峰→駒ヶ岳→駒津峰→双子山→北沢峠
6:00起床,バスの到着時間の8:25分まで周辺を散策する。河原のマレットゴルフ場に鹿らしき足跡がある。ここはすでに動物の縄張りのようだ。
8:25仙水荘前に村営バスが到着,バスは林道を小黒川渓谷沿いに紅葉の中を行く。
子黒川を左岸に渡り,高度を上げていくと,やがて戸台川渓谷を隔てて鋸岳の荒々しい山容や甲斐駒岳の端正な容姿が迫ってくる。やはり南アルプスは大きいなぁ。そして森林限界が高く山頂近くまで緑が見られ,動植物の宝庫だろう。
9:15北沢峠に到着,キャンプ地の北沢長衛小屋へ向かう。テントの設営も終了して,10:00出発,シラビソ林は針葉樹林特有の臭いが漂う中,仙水峠へ向かう,空気も旨く感じる。仙水小屋を過ぎるとダケカンバの黄葉は終わり,唐松の葉も散り始めている。
この付近の樹木は積雪と痩せた地形によるものか,背が低く枝振りが稟として,まるで枯れ山水の庭園に遊ぶ小動物のような錯覚におちいる。
11:00仙水峠到着,花崗岩の岩塊,摩利支天が圧倒的な迫力で左前面に現れ,その姿に,古の人々が神の存在を感じたのも頷ける。
ここから急登を喘ぎながら駒津峰へ,森林限界を過ぎてパノラマの中を頂上へ向かう。
12:20駒津峰到着,残念ながらガスが発生して駒ヶ岳は頂上が見えない。しかし,北側に聳える鋸岳は,ここからは端正な風格のある姿をしていた。
六方石まで下り,摩利支天方面から駒ケ岳を巻くようにザレタ花崗岩帯を進み,13:45駒ケ岳に到着,ガスで何も見えない。この時間では無理もないか。早朝なら素晴らしい景色を満喫できたろうに,明日の仙丈に期待して下山開始。
2:45駒津峰,気温は3.5度を表示している。3:15双子山から4:10北沢峠に戻る。
長衛小屋のキャンプ場には3組のテントが張られており,晩秋の河原はもう黄昏が迫る。川岸に腰掛けて飲むビールも2杯目になると,テント内で上着やシュラフが恋しくなる。今夜は冷えそうだ。
27日
北沢峠→馬ノ背→仙丈岳→小仙丈岳→北沢峠~水仙荘~駒ケ根~飯田~平谷村道の駅
4:30起床,テントのインナーは,露でぐっしょりだがアウター内部は呼気が氷結してライトにキラキラと光る。空が白みかける頃,テントをそのままに小ザックで出発,6:00北沢峠から大平山荘へと下り,トウヒ樹林の薮沢新道を行く。滝見台の上から滝が俯瞰できるが,やはり滝は下や正面から眺めるものだ。
藪沢渓谷に出ると,山頂がものすごく上部に見えて,あそこまで登るのかと挫けそうになる。渓谷沿いに高度を上げていくと青空に鋸岳上部がモルゲンロートに染まってくる。やがて駒ケ岳も顔をあらわし,早く仙丈の頂上へ立ちたいが道はまだまだ遠い。藪沢は小仙丈の北側の渓谷に当たり,7:50五合目というのに支流の水は凍てつき霜柱も大きくて,気温は氷点下3.7度を指している。
8:10馬ノ背ヒュッテでようやく日当たりに出る。ヒュッテはもう営業していなくて,小屋周囲のダケカンバ林も落葉しており山は冬に備えているようだ。
馬ノ背に出ると黒川渓谷が錦秋を纏い,その向こうには北アルプスの遠影が浮かぶ。
行く手には藪沢カール中央に仙丈小屋が高い。快晴にスカイラインが鮮やかだ。
9:05仙丈小屋は新しくソーラーと風力の発電設備で,自然愛護をテーマにしているようだ。しかし,今日で営業終了し,小屋のスタッフは下山するとのことだ。
仙丈小屋を後にして,9:25仙丈岳到着,北正面に北岳が端正な頂上をもってすぐ指呼の間にあった。その左後ろに富士山のシルエットが逆光に浮かんでいる。ナンバー1と2のデュエットだ。彼らの右には白根三山の雄,間の岳が覗く。
この山頂に一人で立ち,これらの名峰を心行くまで眺めれる機会はそうそうないだろう。
きっと私の人生に潤いを与える記憶の一つになるに違いない。
富士の左には鳳凰三山がうねり,地蔵岳のオベリスクが存在感を示す。その左には北沢峠を隔てて甲斐駒,鋸岳が。目を移せば西に中央アルプス,その後方に北アルプス,乗鞍,御岳の個性豊かな山々が雲上に顔を出している。
こんな山頂での軽食は,たかがビスケットといえども旨い!しかし,うっかりしていると手が風で冷却され痺れてくる。やはり薄着はいけない。
名残惜しいが出発だ。左に薮沢カール,右に小仙丈カールの稜線を小仙丈へと向かう。
10:20小仙丈で初めて登山者と合った。後はひたすら下って11:35長衛小屋に到着テントを収納してバス停の北沢峠へ向かう。13:00のバス出発まで長衛荘薪ストーブ前でビールを飲む。
山荘内ではもう薪ストーブが焚かれ,薪も小山のように整然と積まれている。また週末のここは多くのハイカーで賑わっている。臨時バスが来て13:50仙水荘到着。ザックを整理して帰宅の途に着くが,明日までに帰ればいい気楽な旅だ。のんびりと行こう。
駒ケ根から国道153号線沿いの農道を南下,飯田からは紅葉の三州街道を平谷村の道の駅へと走る。
17:00ここの道の駅は温泉があり,今日は週末のため多少混雑したが,露天風呂でリフッシュし,火照った喉を潤すビールは最高だ!最近のスーパー(ジャスコがお気に入り)の惣菜も旨い。今日はここでお休み・・・
29日
平谷村道の駅~R418~R257~恵那市~土岐市(R21)~米原~京都
3:00起床,顔を洗って出発だ。静寂の山岳ルートから恵那市の国道19号線に出ると,ト
ラックが高速でひっきりなく走っているが道路が整備されており,7:00には米原から琵琶
湖岸に出る。ここで一時休憩して10:00京都に無事到着。実りある旅だった。
おちまい